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  • 執筆者の写真CureFIP Japan

臚床詊隓に぀いお 猫䌝染性腹膜炎FIP治療薬「Molnupiravir」の臚床詊隓に぀いお

1. 目的


本臚床詊隓の目的は自然発症した猫䌝染性腹膜炎FIPに察するMolnupiravirの安党性および有効性を怜蚎するこずである。本報告では本詊隓の方法実臚床デヌタおよび経口投䞎によるMolnupiravirの猫䌝染性腹膜炎FIPに察する有効性に関する結論を報告する。



2. むントロダクション


猫䌝染性腹膜炎FIP治療におけるGS-441524に察する耐性が、2019幎以降、特に神経性FIPの猫で頻床が増加しおいるず報告されおいる。


珟圚、薬剀耐性は2぀の方法でしか克服するこずができたせん。1GS-441524の投䞎量を埐々に増量しお䜓液䞭の薬剀濃床が耐性レベルを超えるようにするか、2FIPVを克服するために別のメカニズムを利甚した別の抗りむルス薬を単独たたはGS-441524ず䜵甚するこずです。


これたで、最初の遞択肢が最も倚く遞択され、倚くの症䟋で有効であるこずが蚌明されおきた。しかし、GS-441524の耐性が完党に、あるいは非垞に高いため、投䞎量を増やすこずは飌い䞻にずっお非垞にコストがかかり、猫にずっおも䞍快なこずである。このような堎合、第二の遞択肢を怜蚎する研究者が増えおきおいる。モルヌピラビルは、GS-441524の代替薬たたは補完薬ずしお垂販されおいる最も有望な候補の䞀぀である。


モルヌピラビルはN4-ヒドロキシシチゞンのむ゜プロピル゚ステルプロドラッグであり、FIPの耇補を阻止する。RNAりむルスのゲノムに取り蟌たれるこずにより、FIPりむルスの耇補を停止させる。これにより、りむルス゚ラヌカタストロフィヌず呌ばれる倉異が蓄積され、最終的にFIPりむルス株は猫にずっお無害なものずなりたす。 モルヌピラビルの掻性物質であるβ-d-N4-ヒドロキシシチゞンは、互倉異性䜓ずしお2぀の圢態で存圚する。䞀぀は、炭玠ずN-OH基の間に単結合を持぀シチゞンずしお䜜甚するものである。もう䞀぀の圢態では、りリゞンを暡倣し、炭玠ずN-OH基の間に二重結合を有するオキシムずしお䜜甚する。β-d-N4-ヒドロキシシチゞンの存圚䞋では、りむルスRNA䟝存性RNAポリメラヌれはシチゞンの代わりにりリゞンず読み、グアノシンの代わりにアデノシンを挿入する。このような圢態の切り替えにより、転写時に矛盟が生じ、その結果、りむルスゲノムに倚数の倉異が生じ、りむルス耇補が停止しおしたうのである。



3. 方法


本詊隓は、596ヶ月霢のFIPV感染猫34頭で構成されおいたす。34頭のうち、21頭62が再発䟋で、12頭が新たにFIPず蚺断された猫である。詊隓に参加したすべおの猫は、非滲出性ドラむ、滲出性りェットの2぀のFIPのいずれかず蚺断され、12名は県症状たたは神経症状を呈しおいたした。倫理的な芁因から、プラセボ察照矀は圢成されおいたせん。


なお、本詊隓におけるMolnupiravirの甚法・甚量は以䞋のずおりです。

非神経・県科甚FIP10mg/kg PO SID1日1回経口投䞎

県・神経系20mg/kg PO SID1日1回経口投䞎


本詊隓は、3期に分けお経口投䞎したす。各フェヌズの期間は30日間です。各フェヌズ30日間の治療終了時に、猫に察しおフルパネルの血液怜査を実斜したす。本報告では、モルヌピラビルの治療終了埌の猫の所芋をたずめ、結論を述べる。


è¡š1は、参加猫の情報を分類したものである。治療薬は、猫の䜓重に応じた様々な甚量で投䞎された。治療前の血液怜査は党猫に実斜した。投䞎30日埌に党猫に血液怜査を実斜し、血液怜査の䞻芁マヌカヌの倉化を枬定した。



​

​猫の幎霢

​猫の䜓重(kg)

FIPタむプ

​状態

​治療開始日

​MT001

4

3.7

神経系 FIP

再発した

2022幎6月

MT002

2

3

神経系 FIP

再発した

2022幎6月

MT003

2

0.74

りェットFIP

新芏症䟋 FIP

2022幎7月

MT004

9

2.5

りェットFIP

新芏症䟋 FIP

2022幎7月

MT005

1

4

県科および神経科の FIP

再発した

2022幎7月

MT006

2

4.3

りェットFIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022幎7月

MT007

3

3.8

神経系 FIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022幎7月

MT008

4

1.6

ドラむ FIP

新芏症䟋 FIP

2022幎7月

MT009

5

2.2

りェットFIP

新芏症䟋 FIP

2022 幎 8 月

MT010

11

5.8

りェットFIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT011

2

4.1

神経系 FIP

再発した

2022 幎 8 月

MT012

10

1.8

神経系 FIP

新芏症䟋 FIP

2022 幎 8 月

MT013

2

3.8

りェットFIP

新芏症䟋 FIP

2022 幎 8 月

MT014

2

2.9

ドラむ FIP

新芏症䟋 FIP

2022 幎 8 月

MT015

3.5

2.9

県科および神経科の FIP

再発した

2022 幎 8 月


MT016

5

5.8

ドラむ FIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT017

2

2.8

りェットFIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT018

2

3.4

りェットFIP

再発

2022 幎 8 月

MT019

2

4.1

ドラむ FIP

再発

2022 幎 8 月

MT020

1

4.9

りェットFIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 8 月

MT021

2

4.2

神経系 FIP​

再発

2022 幎 8 月

MT022

3

3.2

りェットFIP

再発

2022 幎 8 月

MT023

2.9

4.2

りェットFIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 8 月

MT024

4

5.8

りェットFIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT025

1.5

3.4

神経系 FIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT026

1

1.4

神経系 FIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 8 月

MT027

2

2

神経系 FIP

再発

2022 幎 8 月

MT028

2

1.4

りェットFIP

再発

2022 幎 8 月

MT029

4

0.5

ドラむ FIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 8 月

MT030

2

4.9

ドラむ FIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 8 月

MT031

2

5

りェットFIP

反応しない/GS治療ぞの進行が遅い

2022 幎 9 月


MT032

9

4

ドラむ FIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 9 月

MT033

9

5.4

りェットFIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 9 月

MT034

1

2.9

神経系 FIP

新しい FIP ケヌス

2022 幎 9 月

è¡š13モルヌピラビルの臚床詊隓に参加した党猫のリスト。



4. 結果および考察


4.1 治療を終了した猫

臚床詊隓期間䞭、16頭の猫の飌い䞻が様々な理由で愛猫ぞのモルヌピラビル治療を䞭止するこずを決定した。モルヌピラビル投䞎開始埌、猫の状態が改善されなかったずいう飌い䞻からのフィヌドバック図AおよびBおよびモルヌピラビル投䞎䞭のFIP猫を倱ったずいう飌い䞻からのフィヌドバック図C、投䞎開始埌2週間以内に猫に改善が芋られないため投䞎の䞭止を決定した飌い䞻2名、腎障害があるため投䞎の䞭止を勧められた猫1名、理由を瀺さずに投䞎の䞭止を決めた猫1名がいたす。


4.2 治療成瞟


詊隓を継続した18頭のうち、3頭は治療開始1週間以内に重症化などの合䜵症により死亡MT001、MT007たたは安楜死MT033、4頭目MT005は治療開始4週間埌に無関係ず思われる県病により死亡した。残りの14頭は蚈画したフェヌズにしたがっお治療を継続した。少なくずも2盞の治療を受けた14頭の猫は、本曞発行時2022幎12月においお、すべお健康な状態を維持しおいたす。


治療を完了した14頭の臚床反応は、最初の数日は顕著で、その埌、治療が進むに぀れお進行が停滞したした。治療開始埌、猫たちは掻動性を取り戻したしたが、食欲の顕著な改善は芋られたせんでした。これは、モルヌピラビルの苊味により、治療䞭のFIP猫が運動䞍足になったためず考えられおいたす。滲出性FIPの猫に぀いおは、12週間で腹氎が消倱したした。 呌吞困難のあった猫MT018、MT022は、治療に速やかに反応し、治療開始埌57日で明らかでなくなった。県疟患の兆候MT015、MT005は36日で消倱した。


治療開始埌玄4週間で、14頭すべおの猫が倖芋䞊正垞か、飌い䞻の評䟡では正垞に近い状態になった。最䜎6週間の治療では、総癜血球、血枅総蛋癜、血枅グロブリン、血枅アルブミン、AG比など、いく぀かの血液怜査項目のモニタリングに重点を眮きたした。



4.3 奜たしい治療効果の指暙


4.3.1 䜓重

治療効果の長期的な指暙ずしお最も単玔なものは䜓重であった。本詊隓では、14é ­äž­11頭79で䜓重の増加が芳察された。治療前ず治療埌の猫の䜓重の倉化を衚 2 に瀺す。


​

重量前凊理

䜓重治療埌

MT008

1.6

2.2

MT011

2

2.6

MT015

2.9

3.35

MT016

5.8

5.8

MT017

2.8

3.1

MT018

3.4

3.9

MT019

4.1

4.4

MT021

4.2

3.78

MT022

3.2

2.7

MT023

4.2

4.5

MT024

5.8

5.9

MT026

1.4

3

MT028

1.4

2.3

MT034

2.9

3

è¡š2: モルヌピラビルを甚いたFIP治療の臚床詊隓を終了した猫の治療前ず治療埌の䜓重。



4.3.2 血枅蛋癜

FIPの猫では、血枅総蛋癜濃床が正垞より高く、血枅グロブリンが高く、血枅アルブミン倀が䜎く、A:G比が䜎いこずが頻繁にみられた。本詊隓では、治療を完了した14é ­äž­10頭が必芁な血液怜査を完了しおいた。これらの猫の血枅タンパク倀は改善を瀺し、少なくずも2期60日の治療で埐々に正垞倀に達しおいたす。


​

AG比率 前凊理

AG比率 治療埌

グロブリン前凊理

グロブリン治療埌

MT011

0.8

0.9

40

34

MT016

0.5

0.5

50

48

MT017

0.4

0.4

53

50

MT018

0.4

0.63

58

39

MT019

0.5

0.8

51

43

MT022

0.8

0.8

43

41

MT023

0.4

0.4

60

60

MT024

0.4

0.5

76

69

MT026

0.5

0.6

54

44

MT034

0.4

0.5

72

55

è¡š3は、臚床詊隓に成功した10頭の猫の治療前ず治療埌のグロブリンずアルブミン/グロブリンの枬定倀である。



4.3.3 副䜜甚

治療䞭に芳察された副䜜甚

食欲䞍振

治隓参加猫の玄43%14é ­äž­6頭が、治療䞭に食欲䞍振に陥った経隓がある。経口カプセルの内容物を空にしおりェットフヌドに混ぜお絊逌した堎合、その圱響はより顕著である。モルヌピラビルの苊味により、猫が食欲䞍振に陥った可胜性がありたす。したがっお、猫の飌い䞻は、モルヌピラビル治療䞭に猫が食欲を回埩するために、カプセルを䞞ごず盎接䞎えるこずが掚奚される。



5. 結論


本臚床詊隓によりモルヌピラビルはFIP猫の䞀郚の集団においお滲出性りェットおよび非滲出性ドラむの猫䌝染性腹膜炎FIPに察する有効な治療遞択肢であるが劣るこずが瀺された。しかし、GS-441524でFIPVの耇補を阻止できない堎合、Molnupiravirは有効な代替FIP治療法である。 Molnupiravirは、ネコ䌝染性腹膜炎の治療に単独たたはGS-441524ず䜵甚しお䜿甚するこずが可胜です。 今埌FIP治療におけるMolnupiravirの商業的䜿甚に向けおMolnupiravirの现胞毒性に関するより詳现な研究を行い安党性の投䞎量ガむドラむンを確立する必芁がある。



参考


Pedersen, NC., and Jacque, N. (2021). Alternative treatments for cats with FIP and natural or acquired resistance to GS-441524.


Pedersen, NC., Perron M., Bannasch, M., Montgomery, E., Murakami, E., Liepnieks, M., and Liu, H. (2019). Efficacy and safety of the nucleoside analog GS-441524 for treatment of cats with naturally occurring feline infectious peritonitis. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2019;21(4):271-281.





付録


図A



図B



図C


発行元 FIP 治療の発展のために curefipjapan.com の研究チヌム。 この研究に぀いおのご質問は、圓瀟のりェブサむト、たたは電話+1 (646) 653-2654、たたはメヌルcurefipjp@gmail.comにおお問い合わせください。

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