伝染性腹膜炎 猫の症状:見逃しやすい初期サイン徹底解説
- CureFIP Japan

- 8月1日
- 読了時間: 9分
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状で最も見逃されやすいのは、抗生剤に反応しない持続的な微熱、なんとなく続く食欲低下、体重減少、そして「以前より遊ばなくなった」という元気消失です。これらは風邪や一時的な不調と区別しにくく、進行するとお腹の膨らみ(腹水)、黄疸、目の濁り、ふらつきといった明確な症状へと変わります。早期に猫伝染性腹膜炎(FIP)を疑い、あなたの獣医師に相談することが、その後の経過を大きく左右します。
自宅でくつろぐ猫。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状にはどんなものがありますか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状は、38.5度から40度前後の抗生剤に反応しない持続的な発熱、食欲のむらや低下、少しずつ進む体重減少、そして活動性の低下(元気消失)です。これらは1つの劇的な症状としてではなく、複数の小さな変化が積み重なる形で現れます。
FIPは猫コロナウイルスが体内で変異することで発症する病気で、免疫の状態や変異の場所によって症状の出方が変わります。そのため、初期には「はっきりしないが、何かおかしい」という飼い主の違和感が最も重要なサインになります。
特に若い猫(生後6か月から2歳前後)や多頭飼育、保護施設出身の猫は発症リスクが高い傾向があります。こうした背景を持つ猫で下記のサインが続く場合は、早めの受診が望まれます。
初期に気づきやすい変化には次のものがあります。
数日以上続く微熱、または発熱が上がったり下がったりを繰り返す
ごはんの食べムラ、少しずつ減る食欲
遊ばなくなる、寝ている時間が増える
体重がじわじわ落ちる、成長期なのに大きくならない
毛づやが悪くなる、被毛がパサつく
猫の中には初期症状が非常に分かりにくいウイルス性疾患がいくつかあり、FIPもその1つです。見分け方の全体像は気づきにくい猫の病気の初期症状の解説も参考になります。
なぜ猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状は見逃されやすいのですか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状が見逃されやすいのは、症状が非特異的で、他のよくある不調と区別しにくいからです。微熱や食欲低下は多くの病気に共通するため、「様子見」の間に病気が静かに進行してしまいます。
猫は本能的に体調不良を隠す動物です。痛みや違和感を表に出さないため、飼い主が気づいた時にはすでに腹水がたまっている、黄疸が出ているといった段階に進んでいることがあります。
また、初期のFIPは血液検査でも決定打が出にくいことがあります。総蛋白やグロブリンの上昇、A/G比の低下、貧血などが手がかりになりますが、単独では確定できません。検査値の読み方はFIP治療中の血液検査結果の読み方で詳しく解説しています。
だからこそ、「いつもと違う」という日常の観察が診断への第一歩になります。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の4つのタイプと症状の違いは?
猫伝染性腹膜炎(FIP)にはウェット(滲出型)、ドライ(非滲出型)、眼型、神経型の4つのタイプがあり、それぞれ症状の現れ方が異なります。同じ猫で複数のタイプが重なることもあり、タイプによって治療の投与量も変わります。
以下、4つのタイプを順に見ていきます。
ウェットタイプ(滲出型)の猫伝染性腹膜炎(FIP)
ウェットタイプの猫伝染性腹膜炎(FIP)は、お腹(腹水)や胸(胸水)に液体がたまるのが特徴で、進行が比較的速い傾向があります。初期にはお腹がわずかに膨らむ、抱いた時の重さが変わる、といった微妙な変化から始まります。
代表的なサインは次のとおりです。
お腹が張って膨らむ、洋ナシ型の体型になる
胸水がたまると呼吸が速く浅くなる
発熱、食欲低下、元気消失を伴う
体重は落ちているのにお腹だけ大きく見える
呼吸が苦しそうな様子は緊急性が高いサインです。早急にあなたの獣医師の診察を受けてください。
ドライタイプ(非滲出型)の猫伝染性腹膜炎(FIP)
ドライタイプの猫伝染性腹膜炎(FIP)は、目立つ液体貯留がなく、臓器に肉芽腫(炎症のかたまり)ができるため、症状が分かりにくく進行がゆっくりです。そのぶん初期の発見が最も難しいタイプでもあります。
主なサインは次のとおりです。
原因のはっきりしない持続的な発熱
慢性的な体重減少と食欲低下
肝臓が侵されると黄疸(歯茎や耳が黄色くなる)
腎臓やリンパ節のしこり、消化器症状
「なんとなく元気がない状態」が数週間続く場合は、ドライタイプのFIPも念頭に置く必要があります。
眼型(オキュラー)の猫伝染性腹膜炎(FIP)
眼型の猫伝染性腹膜炎(FIP)は、目に炎症が現れるタイプで、目の色や見え方の変化が最初のサインになることがあります。ドライタイプや神経型と併発することも少なくありません。
気づきたいサインは次のとおりです。
目が濁る、虹彩の色が変わる(茶色っぽくなる)
瞳孔の左右差、光への反応が鈍い
目の中の出血や、フレア(前房のにごり)
見えにくそうにする、物にぶつかる
目の変化は写真に撮って記録し、受診時にあなたの獣医師に見せると診断の助けになります。
神経型(ニューロロジカル)の猫伝染性腹膜炎(FIP)
神経型の猫伝染性腹膜炎(FIP)は、脳や脊髄が侵されるタイプで、ふらつきやけいれん、行動の変化として現れます。血液脳関門があるため、治療では十分な投与量が特に重要になるタイプです。
主なサインは次のとおりです。
ふらつき、歩き方がぎこちない(運動失調)
けいれん発作、震え
性格や行動の変化、過敏になる
首をかしげる、眼振(目が細かく揺れる)
失禁など排泄のコントロールの乱れ
神経症状は進行のサインであることが多く、早急な対応が必要です。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状チェックリストはどう使えばいいですか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状チェックリストは、複数の項目に当てはまるかどうかを確認し、当てはまる項目が多いほど早く受診する、という使い方をします。1項目だけでFIPと決まるわけではありませんが、組み合わせが増えるほど疑いは強まります。
次の項目を1つずつ確認してみてください。
数日以上続く発熱、または上下を繰り返す微熱がある
食欲が落ちている、食べムラがある
体重がじわじわ減っている
元気がなく、遊ばなくなった
お腹が張って膨らんできた
呼吸が速い、浅い
歯茎や耳、白目が黄色い(黄疸)
目が濁る、虹彩の色が変わった
ふらつく、けいれんがある
若齢、多頭飼育、保護出身などのリスク背景がある
2つ以上当てはまり、それが数日続く場合は、早めにあなたの獣医師へ相談してください。記録した体温や体重、写真は診断の大きな助けになります。
猫伝染性腹膜炎(FIP)が疑われたら何をすべきですか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)が疑われたら、まず落ち着いて症状と経過を記録し、できるだけ早くあなたの獣医師の診察を受けることが最優先です。自己判断で市販薬を与えたり、様子見を続けたりすることは避けてください。
受診前後にできる具体的な行動は次のとおりです。
毎日の体温、体重、食事量、水分量を記録する
お腹の膨らみや目の変化を写真・動画で残す
これまでの飼育歴(出身、ワクチン、多頭など)を整理する
血液検査や画像検査、必要に応じてPCRなどの精密検査を相談する
疑いが出た段階での動き方は獣医師がFIPを疑ったときに取るべき行動にまとめています。診断がついた後の全体像は飼い主のためのFIP治療ガイドが役立ちます。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療法と成功率は?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療の中核となる抗ウイルス薬はGS-441524で、UC Davis(Pedersen, 2019 / PMC6435921)ではGS-441524単剤(注射)による92%の成功率が報告されています。標準的な治療は、あなたの獣医師の管理のもとで84日間(12週間)行われます。
CureFIPはGS-441524を治療の主役とする専門ブランドで、2019年以降、世界で100,000頭以上の猫の治療に用いられてきました。GS-441524の効果の詳細はGS-441524治療はどれほど効果的かで解説しています。
注射剤の投与量はFIPのタイプごとに設定されています。カタログに基づく投与量は次のとおりです。
FIPのタイプ | 1日の投与量 | スケジュール | 期間 |
ウェット(滲出型) | 6 mg/kg | 1日1回 皮下注射、週7日 | 84日間(12週間) |
ドライ(非滲出型) | 8 mg/kg | 1日1回 皮下注射、週7日 | 84日間(12週間) |
眼型 | 10 mg/kg | 1日1回 皮下注射、週7日 | 84日間(12週間) |
神経型 | 10 mg/kg | 1日1回 皮下注射、週7日 | 84日間(12週間) |
(出典:Pedersen et al., UC Davis, PMC6435921)
注射剤には濃度の異なる製品があり、猫の体格や投与量に合わせて選べます。カタログ上の主な選択肢は次のとおりです。
製品名 | 濃度 | 価格 |
GS-441524 抗ウイルス剤, 20mg/ml濃度 | 20 mg/ml | ¥10,900 |
CureFIP™ GS-441524 + B12 注射剤 | 20 mg/ml + B12 | ¥11,900 |
CureFIP™ GS-441524 注射剤 30mg/ml 10ML | 30 mg/ml | ¥16,600 |
CureFIP™ GS-441524 注射剤 40mg/ml 10ML | 40 mg/ml | ¥18,900 |
近年は、GS-441524にEIDD-1931を組み合わせた経口のデュアル抗ウイルス療法も選択肢になっています。CureFIP™ 経口カプセル(GS-441524 + EIDD-1931)は¥20,990で、Li and Cheah 2025では78.3%の寛解率が報告されています。この経口カプセルは主にウェット・ドライ向けに位置づけられ、眼型・神経型の症状が出ている場合や、猫が食べられない・排泄できない場合には推奨されないとする地域もあります。
併用療法の考え方は2つの抗ウイルス薬による併用療法が注目される理由で詳しく紹介しています。どの製品・投与経路が適しているかは、必ずあなたの獣医師と相談して決めてください。
よくある質問(FAQ)
猫伝染性腹膜炎(FIP)の最初のサインは何ですか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の最初のサインは、抗生剤に反応しない持続的な微熱、食欲低下、体重減少、元気消失であることが多いです。これらは非特異的なため、複数が数日続く場合はあなたの獣医師に相談してください。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状はどのくらいで進行しますか?
ウェットタイプの猫伝染性腹膜炎(FIP)は数日から数週間で急速に進むことがあり、ドライタイプは数週間から数か月かけてゆっくり進むことがあります。進行速度はタイプや個体差で異なるため、早期の受診が重要です。
猫伝染性腹膜炎(FIP)は治療できますか?
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、GS-441524を中核とする84日間の抗ウイルス治療によって寛解を目指せる病気です。UC Davis(Pedersen, 2019)ではGS-441524単剤で92%の成功率が報告されていますが、治療の可否と方針は必ずあなたの獣医師が判断します。
家庭でできるFIPのチェックはありますか?
毎日の体温、体重、食事量を記録し、お腹の膨らみや目の変化を写真で残すことが家庭でできる有効なチェックです。数値と画像の記録は、あなたの獣医師の診断を大きく助けます。
治療中の経過はどのように確認しますか?
治療中は体温、体重、食欲の回復とともに、定期的な血液検査で治療の反応を確認します。詳しい経過の目安はGS-441524によるFIP治療のタイムラインを参考にしてください。
愛猫の小さな変化に気づいたあなたの直感は、とても大切な第一歩です。治療の選択肢について詳しく知りたい方は、CureFIP Japanの情報ページをご覧いただき、あなたの獣医師とよく相談したうえで次の一歩を検討してください。私たちは、データが示すことと示さないことの両方を、透明性をもってお伝えします。
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